名古屋妖怪屋敷・消えた鶏と稲荷
どんな伝承か
名古屋市下萱津町の妖怪屋敷で、河野中佐が公用で伊勢の津へ出かけた夜、狐狸よけに下女の部屋で飼っていた鶏が悲鳴を上げ、羽一本残さず消えた。怪しいことが重なり、人に勧められて崇徳稲荷で祈祷を頼むと、巫女は、屋敷には三、四百年来の狐が住み春吉大明神と崇められていたが、祠が壊れて祭りが絶えたため再び祀ってほしくて不思議を見せている、鶏は敷地の西南の隅に埋めてあると告げた。掘ると鶏が出てきたので、東北の隅に祠を建てて祀った。その後、門を叩く音がすると一週間後に必ず何かが起こったという。
原典より
そこで中佐は試みに西南の隅を、掘ってみたら、たしかに鶏はそのまま埋めてあった。—— 妖怪の民俗学――日本の見えない空間(宮田登・宮田登・民俗学・1985年(昭和60年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
妖怪の民俗学――日本の見えない空間(宮田登・宮田登・民俗学・1985年(昭和60年))
『妖怪の民俗学――日本の見えない空間』は、宮田登が一九八五年(昭和六十年)に著した、妖怪の現れる場所を論じた民俗学の書である。柳田国男と井上円了の妖怪論、幽霊と妖怪の違い、口裂け女と産女、皿屋敷、化物屋敷と下女、辻・橋・境の怪異、怪光と怪音、七不思議、通り悪魔と髪切りを、古文献や新聞記事、各地の伝承から読み解く。四章から成り、都市の空間に妖怪が現れる仕組みを軸に据える。