産女の三辻で見た老女と児童列への事故
どんな伝承か
昭和五十九年五月十五日の午前七時二十五分、静岡市産女の県道で、女性の運転する乗用車が、歩道を集団登校していた南藁科小学校の児童の列に後ろから突っ込み、十数人をはねた。五十五歳の運転者は入院先で、道の左側におばあさんが立っていたのでよけようとした途端、エレベーターで降りるようにすっと意識が遠のき、子供の姿は目に入らなかったと語った。警察は飲酒も居眠りも持病の発作も否定した。著者は、現場が三辻で、妖怪と同じ名の産女という土地であることに注目し、産女らしき像が運転者の前に現れたのではないかと推し量っている。
原典より
確か道路の左側におばあさんが立っていたと思います。—— 妖怪の民俗学――日本の見えない空間(宮田登・宮田登・民俗学・1985年(昭和60年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
妖怪の民俗学――日本の見えない空間(宮田登・宮田登・民俗学・1985年(昭和60年))
『妖怪の民俗学――日本の見えない空間』は、宮田登が一九八五年(昭和六十年)に著した、妖怪の現れる場所を論じた民俗学の書である。柳田国男と井上円了の妖怪論、幽霊と妖怪の違い、口裂け女と産女、皿屋敷、化物屋敷と下女、辻・橋・境の怪異、怪光と怪音、七不思議、通り悪魔と髪切りを、古文献や新聞記事、各地の伝承から読み解く。四章から成り、都市の空間に妖怪が現れる仕組みを軸に据える。