柿と胡麻を作らぬ虚空蔵の里
どんな伝承か
胡瓜や夕顔を作れないという家がある。その理由は明確でないことが多く、昔からそう言い伝えているから守っているのだという。中には部落全体で作らないものもあり、南陽市大字小滝では柿と胡麻を作らない。それは、白鷹山頂に祀られている虚空蔵尊が、柿の木から落ち、胡麻で目を突いたからだという。胡麻やきびを作れないというところには、よくこれに似た話が伝わっている。このようにタブー視される作物が出てきたのは、その作物が神仏への特別な供物であったことから、一般の農民たちが日常の生活の中で摂取することを忌むようになったものであろうかという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
置賜の庶民生活2(民間信仰)――俗信・ワカ・死霊(置賜民俗学会ほか・置賜の庶民生活)
『置賜の庶民生活2(民間信仰)』は、置賜地方の民間信仰を、奥村幸雄・武田正・湯川洋司・戸川安章が項目ごとに分担して書いた民俗誌である。人の一生や食物・病気の禁忌、天気占い・作占い・予兆とまじない、ワカ(巫女)、病を治す薬師・道祖神・不動・地蔵、死霊と魂招び・死水の習俗を、古老からの聞き書きや家伝の書付、近世の記録を交えて記す。「禁忌・卜占・予兆」「生活の中の神々」「仏・地蔵」「死霊」などの部に分け、項の末尾に執筆者名を記す。