八十余の窪穴が残る権現岳
どんな伝承か
大沢岳と金蓋、夜星、権現岳の四つの嶺は矛之峰とひと続きで東を向いている。奴奈川保のうち鶉石郷大沢谷にある旧跡である。この峰々のうちに八十あまりの窪穴があり、地主の娘である奴奈川姫が大己貴神の妃となるとき、大己貴命を迎えるために設けた館の跡だという。また高志峰を今は権現岳と呼び、この山中の所々に十間四方ほど、深さ三、四間ほどの窪穴が槻の木で築き立てられて多く残る。大己貴命が婿入りしたとき、供の神々を宿らせた所だと伝える。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第3巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第3巻』は、山形・福島・新潟の三県に伝わる伝説を集めた叢書『日本伝説大系』の一巻である。湖水の干拓、鮭の大助、八百比丘尼、弥三郎婆、安達ヶ原の鬼婆、産女、雪女房、河童などの話のほか、松・杉・石・池・清水・温泉・長者にまつわる伝説を、口承資料を主に採っている。全体は「文化叙事伝説」と「自然説明伝説」に分かれ、各項目は例話と伝承地を掲げ、〔類話〕〔文献〕〔参考〕で近世以後の史料や県外の類例を補う。