二説に分かれる尹良親王の祠
どんな伝承か
尹良親王の祠が武節村にある。ただし『二葉松』には同じ村の真弓山の麓にあると見え、『三河志』には同村の御所貝津にあると見えて、記述が食い違う。尹良王は信州大河原で自尽したと『浪合記』などにあるから、この祠は縁ある人が後世に造立したものであろう。同書によれば、応永三十一年八月十日に八千野の城を発って三河へ移る折、親王は旅の空をよんだ歌を千野伊豆守に書き与えたという。同十五日、飯田から三河へ向かう道中で大雨と暴風に見舞われ、野武士が襲いかかって合戦となり、家臣に自害を勧められて信濃国大河原で生害した。その地を宮の原といい、討死の者を埋めた塚を千人塚と呼ぶ。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第7巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第7巻』は、愛知・静岡・岐阜・長野の四県の伝説を集めた伝説資料集の一巻である。笠寺観音や日本武尊から天狗・山姥・八百比丘尼・夜叉ヶ池、石や池や塚の由来、白米城・一夜山まで九十七の項目を立て、口承を中心とする伝承を収める。各項目は伝承地を明記した例話を冒頭に置き、『日本伝説名彙』などの対応する題名を添えたうえで、〔類話〕〔参考〕〔文献〕を続けて近世以前の記録の原文まで示す。