山姥物語実記が語る小池家の妻
どんな伝承か
安永六年、胡盧坊が古書や古老の話を取捨して『山姥物語実記』を編んだと自序にいう。尾張丹羽郡余野村の郷士小池家に、京の糸屋の娘で玉と名乗る女が嫁いだ。本宮山への日参の帰り、羽黒山の麓で小池与九郎に出会い、愛宕の修験に連れ去られて来たと語ったので、与九郎は館へ伴い、やがて夫婦となって京丸という子も生まれた。文永九年八月十五夜、福富新蔵国平が犬を連れて本宮山へ狩に登ると、社の灯明のそばに髪を乱した一丈ほどの女がいた。山姥と見て射ると灯は消え、山が鳴動する。夜明けに血の跡をたどると余野村の小池家の門で絶えていた。妻は姿を消し、障子には血で二首の歌が残されていた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第7巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第7巻』は、愛知・静岡・岐阜・長野の四県の伝説を集めた伝説資料集の一巻である。笠寺観音や日本武尊から天狗・山姥・八百比丘尼・夜叉ヶ池、石や池や塚の由来、白米城・一夜山まで九十七の項目を立て、口承を中心とする伝承を収める。各項目は伝承地を明記した例話を冒頭に置き、『日本伝説名彙』などの対応する題名を添えたうえで、〔類話〕〔参考〕〔文献〕を続けて近世以前の記録の原文まで示す。