嘶きの里の竜馬と槌熊の助命
どんな伝承か
「清園寺当山略縁起」の伝え。当山は用明天皇第三の皇子麻呂子親王の開基で、本尊は親王自作の薬師瑠璃光如来である。そのころ丹後の三上ヶ嶽には奠胡・迦楼夜叉・槌熊という三つの悪鬼の首領が眷属を従えて国中を害し、人の通路も絶えかけていた。勅を受けた親王は岩田・河田・公手・公庄の四勇士を従え一万騎で下向する。途中、地中から嘶く声がして掘らせると栗毛の竜馬が躍り出た。その地を嘶きの里という。悪鬼は妖術で切っても射ても傷つかなかったが、額に鏡を戴く犬が現れ、その光に通力を失って討たれた。生き残った槌熊は一夜で伽藍の地を開く約束で命を助けられた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第8巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第8巻』は、黄地百合子・酒向伸行・田中久夫が滋賀・京都・兵庫の三府県を分担して執筆し、福田晃がまとめた伝説集である。丹波の湖を神々が切り開いた国造りの話、神同士の争い、英雄や長者の盛衰、蛇と人の話、魚・鳥・石・塚・祠堂の由来などを、各地の口承や記載資料から集める。第一部「文化叙事伝説」と第二部「自然説明伝説」に分け、各話を例話・類話・文献・参考の順に並べ、高木敏雄・柳田国男の対応する話名を付す。