頼光の銚子と伝わる長柄の酒器
どんな伝承か
与謝郡四辻村の土民徳左衛門の家には、酒呑童子に源頼光が酒を勧めたときの銚子だとして、両口の長柄の銚子が伝えられていた。桐に似た木目があり、内を黒く、縁と底を朱で塗った酒器である。先祖の徳左衛門は猟師で、大江山の麓で鹿を追って犬を放ったとき、駆け回るうちにこの器を拾ったのだという。記録者は前の春に実物を見たが、常の長柄より小ぶりで、柄はそぎ継ぎの所から折れて失われており、百年より古い品には見えず、三神から頼光へ伝わった器とは信じがたいと記している。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第8巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第8巻』は、黄地百合子・酒向伸行・田中久夫が滋賀・京都・兵庫の三府県を分担して執筆し、福田晃がまとめた伝説集である。丹波の湖を神々が切り開いた国造りの話、神同士の争い、英雄や長者の盛衰、蛇と人の話、魚・鳥・石・塚・祠堂の由来などを、各地の口承や記載資料から集める。第一部「文化叙事伝説」と第二部「自然説明伝説」に分け、各話を例話・類話・文献・参考の順に並べ、高木敏雄・柳田国男の対応する話名を付す。