松虫の声を慕って死んだ男の塚
どんな伝承か
摂陽群談は、松虫塚が東生郡阿部野村にあると記す。言い伝えによれば、昔ある人が二人連れでこの野を通りかかった。秋も半ばで月が清く、松虫の声が面白く聞こえる方へ一人が慕って行き、もう一人は跡に残って草の上に臥した。しばらく待っても戻らないので、残った者が跡を尋ねて来てみると、連れは草に伏して死んでいた。泣く泣く土に埋め、松虫塚と名づけて世に伝えたという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第9巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第9巻』は、日本伝説大系編集委員会が編んだ伝説資料集の一巻である。三重・奈良・和歌山・大阪の各地に伝わる伝説を、三輪山・安珍清姫・弘法清水・油掛け地蔵など百余りの話型ごとに集める。各話型は例話を冒頭に据えて『日本伝説名彙』などとの対応を示し、〔類話〕に伝承地と出典つきの梗概を並べ、〔文献〕に近世以前の史料の原文を添えて補う構成をとる。