歌に応えた屍を弔う浅茅原
どんな伝承か
『摂陽群談』巻八は浅茅原を、島上郡成合村の金竜寺の麓にある名所として記す。伝えるところによれば、能因法師がこの原で美女の屍を見て、浅茅原まとふ黒髪昨日まで誰か手枕の上に置らん、と詠じたところ、屍は動き出して草の中から枕を上げ、感じ入った様子を見せてから、また元のようになったという。法師はついにこれを埋め、しるしの石を置いて弔った。詠まれた歌を板に記してそこに建てることは今も続いている。歌の初めの五文字を取って原の名とし、世に知られるようになったと記す。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第9巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第9巻』は、日本伝説大系編集委員会が編んだ伝説資料集の一巻である。三重・奈良・和歌山・大阪の各地に伝わる伝説を、三輪山・安珍清姫・弘法清水・油掛け地蔵など百余りの話型ごとに集める。各話型は例話を冒頭に据えて『日本伝説名彙』などとの対応を示し、〔類話〕に伝承地と出典つきの梗概を並べ、〔文献〕に近世以前の史料の原文を添えて補う構成をとる。