延明寺に手植えされた別府の冬梅
どんな伝承か
『豊田郡誌』は、大字別府の新宮山にある冬至梅について記す。昔、和泉式部が来て延明寺に滞在した折に手植えしたものだといい、花も実もふつうだが果実は苦く、秋冬になっても葉が落ちず青いままだという。接木にしてもいっこうに根づかない。原樹は枯れたが、横山某の家に残っているとする。別の伝えでは、鍛冶子姫(照子姫とも)が延明寺に滞在し、高田郡坂村へ千日の修行に赴く途中、別府で握飯を食べた際にその梅干の種を蒔き、握飯賤か乙女の植る実にとてものことにならば冬梅、と詠んだのだという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第10巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第10巻』は、全国の伝説を型ごとに分けて集めた叢書の一巻である。岡山・広島・山口の三県を伝承地とし、蘇民将来、吉備津彦と温羅、厚狭の寝太郎、化け猫、河童駒引き、夜泣き石、姥棄て山などの伝説を、聞き書きや市町村誌、民話集から採って収める。「文化叙事伝説」と「自然説明伝説」の部に分けて番号順に並べ、各話には伝承地と本文のあとに〔類話〕と近世の地誌などを引く〔文献〕を添える。