伏野の浜の赤坂長者と日招き
どんな伝承か
『因幡民談記』は、長者屋敷と墓が高草郡伏野の浜にあり、これを赤坂の長者と呼ぶと記す。国中一の長者と伝えられ、七珍万宝ひとつとして欠けるものがなかったという。小山の池は昔この長者の田地であったが、ある年、国中の人を集めて一日で植えようとしたところ少し残ったので、長者は金の団扇で入り日を三度招き、山の端に入った日影が三段ばかり登って田を植え終えた。翌年も同じように招き返したが、日月をも招き寄せた報いでたちまち福力が尽き、田地はにわかに池となり、万の宝も跡形なく消え失せたという。安長の田の中に松の茂る小丘があり、これがその墓地だと伝える。この長者は細川の清泰寺を興し、摩尼寺も建立したと縁起にあると記されている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第11巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第11巻』は、山陰の鳥取・島根両県の伝説を集めた日本伝説大系の一巻である。矮姫による穀物の伝来、大山の山くらべ、伯耆の白兎、雲州皿屋敷、七尋女房、牛鬼、隠岐の後鳥羽上皇などを、伝承地を明記した口承の例話で示し、類話と近世以降の文献を添える。「文化叙事伝説」「自然説明伝説」の部に分けて話ごとに番号を付し、凡例のとおり例話・類話・文献・参考の順に並べ、多くの話に高木・柳田による伝説名を添える。