赤池河太郎と竹棚の鮮魚
どんな伝承か
那賀郡赤池村の話。百年ほど前、勝瀬某の家の下男が夏に馬を長川のほとりへ連れて行き、川端につないで帰った。人気がないのを見て河太郎が川から出て、縄をほどいて自分の身に巻きつけ、馬を川へ引き込もうとしたが、馬は駆け出して河太郎を引きずったまま家へ戻った。人々は殺そうとしたが、勝瀬は水を離れた怪物を殺すのは不憫だと言って川へ放した。その夜の夢に河太郎が現れ、恩返しに毎朝井戸のそばの竹棚へ鮮魚を捧げるが、刃物を置かれたら来ないと告げた。翌朝から二、三年のあいだ魚が絶えなかったが、新参の女中が菜刀を棚に置いてから来なくなった。今も勝瀬の子孫が川を渡ると河太郎は手を出さず、水難を免れるという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第12巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第12巻』は、四国四県(香川・愛媛・徳島・高知)の伝説を話型ごとに集めた伝説集成の一巻である。神々の争いや大人の足跡、弘法大師の彫り残しや麦の種、英雄の誕生、長者、人柱、蛇聟、狼の報恩、化猫退治、首切れ馬、夜泣石、地蔵の霊験などを、町村誌や地方の伝説集、昭和五十三年度立命館大学説話文学研究会の採集調査稿から採る。百三十九話に通し番号を付け、各話に伝承地と出典、高木・柳田の分類名を添え、県別の〔類話〕と〔文献〕を続ける。