くばらが池の大蛇と姫田殿の死
どんな伝承か
『阿波の落穂』が伝える板野郡姫田村の話。村にくばらが池という池があり、昔その池に大蛇が棲んでいた。あるとき城主の姫田殿が弓でこれを射たところ、傷を負った蛇は毒気を吐き、その毒に当たった姫田殿は死んでしまった。蛇のほうも深手を負い、ついに近くの山へ這い上がってそこで死んだ。以来その山には草木が生えず、はげ山のままだという。書き手はこの話を、四十年あまり前に大代村の七十を過ぎた老人から聞いたと思い出して記し、のちに改めてその村へ行って尋ねてみたが、もうそんな話を語る者はいなかったと結んでいる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第12巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第12巻』は、四国四県(香川・愛媛・徳島・高知)の伝説を話型ごとに集めた伝説集成の一巻である。神々の争いや大人の足跡、弘法大師の彫り残しや麦の種、英雄の誕生、長者、人柱、蛇聟、狼の報恩、化猫退治、首切れ馬、夜泣石、地蔵の霊験などを、町村誌や地方の伝説集、昭和五十三年度立命館大学説話文学研究会の採集調査稿から採る。百三十九話に通し番号を付け、各話に伝承地と出典、高木・柳田の分類名を添え、県別の〔類話〕と〔文献〕を続ける。