補償金を先祖供養に充てた地権者たち
どんな伝承か
新聞記事によると、多摩川の大洪水で川底に沈んでいた昭島市内の土地が、東京都の下水処理場の建設をきっかけに六十年ぶりに持ち主の手へ戻り、地元の六十三人と市などに合わせて四十六億円が入った。古い証文一通で裁判に勝った人がいる一方、売り渡しの証文が残っていたために権利を認められない人も出た。地権者のうち浅見輝雄さんは、自分たちだけで使っては先祖に申し訳ないと五百万円で菩提寺の墓を直し、中村博紀さんは曾祖父が望んでいた土蔵を昔ながらの工法で建てていた。著者はこの記事を、人は祖先あってこその存在だと示す例として引いている。
原典より
「先祖のおかげ」と、墓や土蔵を建てなおして供養の心を示す人もいる。—— 霊魂の謎-新版タナトロギー入門(中岡俊哉・1990年(平成2年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
霊魂の謎-新版タナトロギー入門(中岡俊哉・1990年(平成2年))
『霊魂の謎-新版タナトロギー入門』は、昭和四十八年に新書版で出た『タナトロギー入門』を、中岡俊哉が文庫化にあたって大幅に加筆・訂正した心霊研究の本で、まえがきは一九九〇年九月付である。著者自身の霊体験から説き起こし、背後霊・地縛霊・騒霊・悪霊・祖先霊・金縛り・淫霊の事例、臨死体験と転生、死者の声の録音や自動書記、恐山のイタコ、心霊治療、心霊写真の鑑定を国内外の例で述べる。まえがきでは「七疑三信」という著者の調査の立場を語っている。