向こう岸へ渡れなかった大病人の臨死体験
どんな伝承か
中村に、四、五日ものあいだ重い病で生死の境をさまよった人がいた。持ち直してから語ったところでは、目の前に小川が流れていて向こう岸へ渡ろうと思うのだが、後ろから「来い来い」と呼ぶ声がして、どうしても向こうへは行けなかったという。その人はまた、死ぬことは少しも苦しいものではない、とも話していた。
原典より
小川があって向う岸へ行こうと思うが、後から来い来いといわれて、どうしても向うへ行けなかった。—— 渋川市誌 民俗編(市史編纂シリーズ) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
渋川市誌 民俗編(市史編纂シリーズ)
『渋川市誌 民俗編』は、渋川市の市誌民俗編のうち、第六章「民俗信仰」の第一節から第五節の初めまでを収めたものである。人魂・幽霊・ロクロッ首・生まれかわり・死神などの霊魂の話、手をつけてはいけない聖地や耕すと祟る忌地、オサキ使いや狐つき、神かくし、若宮八幡などのたたり、イチッコと呼ばれる巫女や祈禱師、東向き鳥居参りなどの祈願を、市内の大字ごとの聞き書きで記す。はじめにで章全体を解説し、続く節では話に見出しと採集地の大字を添える。