河上肇の宗教的体験を読む序
どんな伝承か
心霊研究家の田中千代松が、経済学者河上肇の若い日の宗教的な体験を心霊研究の側から取り上げる。河上は一八七九年に生まれ一九四六年に没した徹底したマルクス主義者でありながら、青年期に受けた一種の宗教的体験の印象を生涯忘れなかった。田中が主な材料に選んだのは、河上が六十三歳で書いた『大死一番』という小篇である。そこには体験そのものの記述に加え、出獄間近の五十八歳のとき当局の求めで書いた『獄中贅語』からの引用も含まれ、科学的真理と宗教的真理をどう結ぶかについての最後の確認が示されているという。田中は、その体験が本来どのように考察されるべきものかを明らかにしたいと述べる。
原典より
『心霊研究』第一二二号(一九五七・四)————経済学者河上肇(かわかみ・はじめ、一八七九―一九四六)は若い時に一種の宗教的体験をしたが、それが彼にどんなに深い感銘を与えたか、そしてそれが、後に徹底したマルクス主義者となっ…—— 霊の世界 ― 小品集(田中千代松・心霊研究文庫III・1978年(昭和53年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
霊の世界 ― 小品集(田中千代松・心霊研究文庫III・1978年(昭和53年))
『霊の世界――小品集』は、田中千代松が新聞・雑誌に寄せた心霊研究の随筆や小論に手を加えて集めた心霊研究文庫の第三冊で、はしがきは一九七八年十一月の日付である。SPRの成り立ちや催眠術・超心理学の来歴、クルックスやフラマリオンを論じる文章のほか、土井晩翠・河上肇・福来友吉の挿話、平田篤胤が記した仙童寅吉、秋山真之の霊夢などを収める。「エッセイ種々」「群像」「ものがたり回顧」の三部に分け、多くの篇に初出の誌名と年月を添える。