ふさ子さんと亡き叔母の霊
どんな伝承か
諏訪の禰宜山中の妹ふさ子は、三十五を過ぎても嫁がずに小学校の教師をしていた美しい人だった。物を引き寄せる術を持つ叔母が、神宝を盗んだ罰を口にして急死すると、家ではさまざまな怪異が起きた。教職にあるふさ子は噂を恐れて家の隅々を調べ、叔母が嫁入り以来隠していた革の物入れから、三十余りの曲玉、古い祝詞のようなもの、獣の干からびた骨や皮、純金らしい環などを見つけた。ふさ子は五、六年後に亡くなったが、結婚して子を産み、夫と北海道へ渡ってからも叔母の霊に悩まされ、目の前に叔母の姿を見て四、五度発狂したようになったという。
原典より
良人と北海道へわたってからも彼女は四五度発狂したようになったことがあった。—— 霊界五十年(長田幹彦) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
霊界五十年(長田幹彦)
『霊界五十年』は、長田幹彦が自らの心霊体験を一人称でつづった随筆集である。霊媒亀井三郎の実験に立ち会った話に始まり、大正十四年に東京中央放送局で見た変死した技師の霊、自殺者の霊、神隠し、心霊写真、死者の霊との交わりなど、長年にわたって見聞きした出来事を語る。「亀井霊媒の実験」「放送局の幽霊」「霊界夜話」「幽霊のキスマーク」などの短い章を連ね、心霊研究の知人や医師との問答を多く交える。