肴町のおかみの亡霊と法然寺の絵
どんな伝承か
夏、縁台で涼む人々の話題によくのぼったのが肴町のお化けの話である。肴町の茶屋(経師屋ともいう)のおかみがお産をしたとき、手伝いに来ていた妹と亭主が深い仲になり、女房を邪魔に思うようになった。産後まもなく鰹の刺身を食べさせると死ぬという言い伝えを二人で試すと、おかみは苦しみ抜き、二人を恨んで死んだ。以後、夜ごと二人の枕元に青白い手を垂らした亡霊が現れた。法然寺の住職が衣の袖の下でその姿を描き写し、その絵は今も盆の十五、十六日に公開されている。町の家々に写経を貼って盛大に供養すると、亡霊もようやく成仏したという。
原典より
その後、夜な夜な二人の枕元へ青白い手をだらりとさげて、亡霊が「ウラメシャー」と出たそうである。—— 常陸太田市史 民俗編――伝説(常陸太田市(編)・常陸太田市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
常陸太田市史 民俗編――伝説(常陸太田市(編)・常陸太田市史)
『常陸太田市史 民俗編――伝説』は、常陸太田市の市史民俗編のうち、第五章「ことばの伝承」の伝説と昔ばなしの部分である。第一節「伝説」は市域の伝説を自然的伝説・社会的伝説・歴史的人物伝説・信仰的伝説の四つに分け、国見山・赤沼・源太郎狐・十王坂・舞鶴城・義家・親鸞・徳川光圀・真弓山の天狗などの話を記す。社会的伝説には地名のいわれや塚・城跡の伝承が多く、第二節「昔ばなし」は冒頭の三話だけを収める。