雷獣が物置を荒らした話
どんな伝承か
百年も前のこととして語られている話である。Iさんの物置に雷が落ちた。その日、物置では若い衆が二人、大きな音を立てて石臼で麦をひいており、雷が鳴り出しても大したことはあるまいと仕事をやめなかったので、雷様が怒ってとがめたのだという。雷獣の暴れようはすさまじく、固い土間を爪でひっかいて大穴を掘り、置いてあった角材を木っ端みじんに引き裂き、黒雲が迎えに来て空へ帰る時には庭の木を引き裂いて上がって行った。若い衆は蚊帳の中へ避難して無事であった。
原典より
その時の雷獣のいたずらはものすごく、固い土間を爪でひっかいて大穴を掘ったり、そこに置いてあった角材は木っ端みじんに引き裂いたりした。—— 草加市史 民俗編――伝説(草加市(編)・草加市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
草加市史 民俗編――伝説(草加市(編)・草加市史)
『草加市史 民俗編――伝説』は、草加市史民俗編のうち「二 伝説」の章である。地名起源・塚・神々・地蔵・薬師・観音・その他の神仏・旅の僧・動物と妖怪の九節で、柿木や青柳の地名の由来、毛長神社の御神体、疣地蔵や火あぶり地蔵、雨乞いの龍、むじな大尽などを、『新編武蔵風土記稿』や縁起碑、土地の伝えによって記す。第十節「世間話」は狐・むじな・狸・雷獣の聞き書きを集め、話ごとに町名と話者の頭文字・生年を添える。