上野原の三度栗と矢筈葉
どんな伝承か
白川荘の上野村と大室村のあいだに広い野があり、上野原という。この野には栗の木ばかりが生えて他の木がない。栗は一年に実を結んで二度熟すものが多く、稀に三度に及ぶものもあるが、それは花が開くだけで実は結ばない。葉先が分かれて岐になるものが多く、土地の人は矢筈葉と呼び、栗を三度栗と称する。門徒は、上人がこのあたりを巡った日、大室村で村人が焼栗を供し、その食べ残しを手ずから植えたところ生え繁ったのだと語る。いまは保田の孝順寺が碑を建てて旧跡地としている。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第3巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第3巻』は、山形・福島・新潟の三県に伝わる伝説を集めた叢書『日本伝説大系』の一巻である。湖水の干拓、鮭の大助、八百比丘尼、弥三郎婆、安達ヶ原の鬼婆、産女、雪女房、河童などの話のほか、松・杉・石・池・清水・温泉・長者にまつわる伝説を、口承資料を主に採っている。全体は「文化叙事伝説」と「自然説明伝説」に分かれ、各項目は例話と伝承地を掲げ、〔類話〕〔文献〕〔参考〕で近世以後の史料や県外の類例を補う。