川を隔てて紙に現れた六字の名号
どんな伝承か
新十郎は深く上人に帰依し、明け暮れ鳥屋野へ参詣して教化を受け、二つとない信者になった。その後、上人が関東へ赴かれるとき、新十郎は別れを悲しんで川端まで跡を慕った。上人はその志を察し、それでは形見を与えようから紙を開いて待てと告げ、川の向こう岸に立って筆を動かした。すると不思議にも、川を隔てた白紙に六字の名号が現れたという。新十郎は深く感激し、それより子孫代々この名号を大切に安置したと伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第3巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第3巻』は、山形・福島・新潟の三県に伝わる伝説を集めた叢書『日本伝説大系』の一巻である。湖水の干拓、鮭の大助、八百比丘尼、弥三郎婆、安達ヶ原の鬼婆、産女、雪女房、河童などの話のほか、松・杉・石・池・清水・温泉・長者にまつわる伝説を、口承資料を主に採っている。全体は「文化叙事伝説」と「自然説明伝説」に分かれ、各項目は例話と伝承地を掲げ、〔類話〕〔文献〕〔参考〕で近世以後の史料や県外の類例を補う。