樺皮に描いた仏影を伝える名族
どんな伝承か
久慈から南、釜石から北、ことに閉伊二郡の村々では、旧家というよりも名族というよりも、カバカハの家と聞く方が話が早い。門閥が何を意味するかを知らぬ人々まで、カバカハの尊いことだけは感じている。柳田国男の推定では、カバカハは白樺の樹皮を利用した一種の紙で、楮の紙が手に入らぬ時代に、阿弥陀の御影や六字の名号をこれに描いて後世に伝えたものであった。関谷の武藤氏の家には近い頃まで、この樺皮のまだ何にも使用していないものが何枚か有り、頗る精巧なものであったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
定本柳田国男集 第2巻(柳田国男・定本柳田国男集)
『定本柳田国男集 第2巻』は、柳田国男の紀行と旅の随筆を収めた著作集の一巻である。昭和三年一月の自序に続く「雪国の春」や菅江真澄の日記を読み解く文をはじめ、東北の村々の正月、火と炭、浜の暮らしの見聞、「秋風帖」「東国古道記」、昭和十五年十一月の自序を持つ「豆の葉と太陽」などの紀行を並べる。峠や古道、佐渡・五箇山・熊野などの土地を、住む人の暮らしと信仰から見ようとする文が多い。