亡魂の契りから生まれた通幻
どんな伝承か
竜泉寺の開基は通幻寂霊で、能登総持寺の峨山紹碩の弟子だという。ある人が語るには、京の商人が丹波の山里の家に入り、迎えた娘と語らったが、土地の言葉を解さず誤って娘を殺した。帰った父母は、ホヤノとは恋い慕う意味だと言い、形見と思えと家を譲って商人を留めた。以後、夜ごと娘の亡魂が通って契りを結び、一年余りののち嬰児の泣く声がする。声をたどれば娘を葬った所で、翌日掘ると子がいた。父母は養って出家させ、通幻になったという。別説では、母が佐夜の中山で浪人に殺され、屍から生まれて乳を吸う子を研屋が育てた。二十五年目に浪人が刀を研ぎに来て懺悔したのを聞き、子は敵を討って出家し、峨山の弟子になったと伝える。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第6巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第6巻』は、富山・石川・福井の北陸三県の伝説を集めた伝説集成の一巻である。神々の国争い、弘法大師や義経の遍歴、片目の魚、猿神や化物の退治など、伝承地を示した話を掲げ、県別の類話と古記録の文献記事を添える。巻末に福田晃の解説「主人公にたどる伝承世界」と、県ごとに近世の地誌から市町村史・民話集までを並べた使用資料一覧を置く。