廟の傍で生まれた通幻の生涯
どんな伝承か
禅師は名を寂霊、号を通幻という。洛陽の人で、母が清水寺の観音に祈って身ごもった。産もうとするときに母は急に亡くなり、古い廟のかたわらに葬られた。道を行く人が廟のそばで児の声を聞き、父もこれを聞いて壙を開いてみると、すでに生まれていた。二歳で父を失い、十一歳で台山に入る。生まれつき英敏で、内外の経史はひとたび目を通せば通じないものが無かったという。十四歳で剃髪して禅門を慕い、能登総持寺の峨山紹碩に参じた。峨山の没後、檀越の細川氏が師の徳を慕って永沢寺を建て、開山とした。総持寺との往来のため、越前の国守が中路に竜泉寺を建てて駐錫の所としたと記される。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第6巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第6巻』は、富山・石川・福井の北陸三県の伝説を集めた伝説集成の一巻である。神々の国争い、弘法大師や義経の遍歴、片目の魚、猿神や化物の退治など、伝承地を示した話を掲げ、県別の類話と古記録の文献記事を添える。巻末に福田晃の解説「主人公にたどる伝承世界」と、県ごとに近世の地誌から市町村史・民話集までを並べた使用資料一覧を置く。