廟の傍で拾われた山城の子
どんな伝承か
師は山城の官人某氏の子である。母は清水寺に詣でて観音大士に祈り、賢い男子が生まれることを願った。百日を期して普門品を千巻誦したところ、ほどなく身ごもった。まさに産もうとするとき、母はにわかに亡くなり、古い廟のかたわらに葬られた。その後、道を行く人が廟のそばで嬰児の声を聞き、行って父に告げた。父が壙を開いて見ると、霊はすでに産まれていた。肌はみずみずしく清らかであったという。祖母がみずから抱いて育てたが、二歳になったとき父もまた亡くなった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第6巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第6巻』は、富山・石川・福井の北陸三県の伝説を集めた伝説集成の一巻である。神々の国争い、弘法大師や義経の遍歴、片目の魚、猿神や化物の退治など、伝承地を示した話を掲げ、県別の類話と古記録の文献記事を添える。巻末に福田晃の解説「主人公にたどる伝承世界」と、県ごとに近世の地誌から市町村史・民話集までを並べた使用資料一覧を置く。