他言して倒れた一本足撃ちの猟師
どんな伝承か
伯母峰峠の北二里ばかりにある柏木の猟師が、この山へ狩に出て一本足の化物に出会った。鉄砲の弾をいくつも撃ったがどうしても当たらない。最後に南無阿弥陀仏と彫り込んだイノリ弾を撃つと、一本足は倒れた。そのとき化物は、このことを他言するなと言い残した。猟師が麓まで下りてくると、茶屋の者が、先ほどしきりに鉄砲の音がしていたがどうしたのかと尋ねた。はじめは何でもないように言っていたが、問い詰められてつい本当のことを話してしまった。そして自分の家まで帰り、入口をまたいだところでばたりと死んでしまったという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第9巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第9巻』は、日本伝説大系編集委員会が編んだ伝説資料集の一巻である。三重・奈良・和歌山・大阪の各地に伝わる伝説を、三輪山・安珍清姫・弘法清水・油掛け地蔵など百余りの話型ごとに集める。各話型は例話を冒頭に据えて『日本伝説名彙』などとの対応を示し、〔類話〕に伝承地と出典つきの梗概を並べ、〔文献〕に近世以前の史料の原文を添えて補う構成をとる。