二重寺に埋めた七つの瓶と唄
どんな伝承か
作陽誌の伝えるところによる。二重寺は真言宗で役行者の開基、伝教の法流を学ぶ寺であり、本尊は如意輪観音という。昔、北山に暁の光明が年に三度ずつ差した。霊山寺の法印が霊夢を得て宝徳寺の観音を二重寺へ移すべしと告げられ、そのとおりにすると暁の光明が現れ異香が袖に薫ったので、感涙をおさえかねてこの寺に安置したと伝える。また、この山を城郭として籠る者があり、源義家がこれを攻めたともいう。俗に二重寺には朱瓶・金瓶・銀瓶・銭瓶を合わせて七つ埋めてあると言い伝え、朝日さす夕日さす雀の三踊り縄三把を考え掘り来世の重宝にせよ、という唄が残る。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第10巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第10巻』は、全国の伝説を型ごとに分けて集めた叢書の一巻である。岡山・広島・山口の三県を伝承地とし、蘇民将来、吉備津彦と温羅、厚狭の寝太郎、化け猫、河童駒引き、夜泣き石、姥棄て山などの伝説を、聞き書きや市町村誌、民話集から採って収める。「文化叙事伝説」と「自然説明伝説」の部に分けて番号順に並べ、各話には伝承地と本文のあとに〔類話〕と近世の地誌などを引く〔文献〕を添える。