篝火を移され溺れた男と恋路村
どんな伝承か
石川県珠洲郡木郎村、能登国鵜飼庄にあたる地の話。多田の里に女、茂九郎の里に男があって、夜ごと通い合っていた。当時は道も険しく、磯伝いに浅瀬をたどって行くほかなく、月のない夜には女が波打ち際で火を焚いて男を待ったという。ところがもう一人の男が恋敵を恨み、ある夜、女を縛ったうえで篝火の場所を変えて焚いておいた。男はそれと知らずに渡り、磯の深みに沈んで死んだ。女もこれを聞いて嘆き、身を投げて死んだ。それより恋路村の名があるという。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説名彙(柳田国男・日本放送協会・昭和25年刊)
柳田国男・日本放送協会編『日本伝説名彙』を全650話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。