人柱の娘が歌を詠んだ雉子畷
どんな伝承か
昔、大阪府西成郡垂水村に阿岩氏という長者があり、西成郡に長柄橋を架けた。人柱を立てねば橋は成就しないというので、継ぎのあたった袴を着た者を捕えて埋める約束をしたが、調べてみると継ぎがあったのは自分の袴であった。阿岩氏はみずから人柱となって水底に入り、橋は完成した。娘の光照前は一言も口をきかず、嫁ぎ先から送り返される途中、この畷で夫が雉子を射たのを見て「物言はぬ父は長柄の橋柱」と歌を詠んだ。夫は悟って連れ帰ったという。女はのちに髪を下ろして不言尼と称し、不言尼寺を草創したと伝わる。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説名彙(柳田国男・日本放送協会・昭和25年刊)
柳田国男・日本放送協会編『日本伝説名彙』を全650話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。