高浪の池に身を投げた長者の妻
どんな伝承か
昔ここに長者がいて、たくさんの田を持っていた。節供に百頭の馬を飾って田掻きに行かせたところ、人夫たちが節供働きだと殿様に訴え、馬は取り上げられた。翌年も同じことをしたため、長者は殿様に殺された。妻はこれを聞き、大判小判を甕に詰めて屋敷の白椿の根に埋め、家財は七夜かけて西の高浪の池へ運び込み、自らも赤牛に乗り、金の鶏の背をたたきながら池に身を投げた。この池には椀貸しの伝えもあり、貸さなくなったのは、池の主となった長者の妻が借りた椀を返さぬのを怒ったためだという。この地には長者の糠塚や、長者が煙草に使ったという長者煙草という草もある。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説名彙(柳田国男・日本放送協会・昭和25年刊)
柳田国男・日本放送協会編『日本伝説名彙』を全650話・伝説(1見出し=1話)単位で収録(緒言・序・名義・解説・和歌・注は除外/内包)。所在地(郡村区・社寺)を付して集成。