発狂した二人に打ち殺されたハル
どんな伝承か
明と勇の死から半年ほどたった夏の頃と源兵は語る。正気を失ったままのフミが庭の木立ちの深い方へゆっくり歩いて行くと、間をおいて伯父の良助も同じような足取りで後を追い、木立ちの中でフミに襲いかかった。納屋へ用があって通りかかったフミの母ハルが止めに入ったが突き飛ばされ、大声で人を呼んだ。使用人が駆けつけるうちに、二人はそろってハルに飛びかかり、倒れたハルは大きな岩で頭を打った。血を流す母にフミが馬乗りになって打ちすえ、良助も殴り続けた。引き離された二人は嘘のように静まったが、ハルは息絶え、二人は精神病と鑑定されて病院に入れられたという。
原典より
ハル奥さまは、勢よく倒れて、ちょうどそこに、大きな岩があり、そこに頭を打ったのです。—— 恐怖の事実と悪霊を除く法-本間家の話(中岡俊哉・1976年(昭和51年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
恐怖の事実と悪霊を除く法-本間家の話(中岡俊哉・1976年(昭和51年))
『恐怖の事実と悪霊を除く法-本間家の話』は、中岡俊哉が一九七六年に著した『悪霊があなたを狙う』(双葉社)のうち、まえがきと目次、第一話「“幽霊屋敷”悪霊のたたり」を収めたものである。千葉県館山市上野原の網元本間家で、娘の神隠しを発端に一家が絶えるまでの出来事を、元下男の源兵じいさんが著者に語った聞き書きの形で記す。目次には悪霊憑依の実話十一話の題と、霊魂の存否と悪霊対策を論じる「悪霊を除く法」の章が並ぶ。