鎌倉で見た十一面観音
どんな伝承か
霊視をする吉田綾が、質疑応答の席で語った体験。鎌倉を訪れたとき、一行からはぐれた彼女を皆が探していると、山の裏手からひょっこり戻ってきた。その間、彼女は土の上に立つ丈一丈一尺の十一面観音を、足を踏まぬよう気遣いながら拝んでいたという。触れると人のように温かく、額には石のようなものがはまっていた。一行は大仏のところにいて、山ひとつ隔てた長谷まで行く時間はなく、後で調べると長谷の観音は三丈余りで、顔も丸顔と細面で違っていた。二十年来寺や仏画を探しても見つからず、近年もう一度と願うと日の丸を背に白い衣の同じ観音が現れたので、霊界が形を作って見せたものだと納得したという。
原典より
鎌倉に行きました時、私が一人いなくなって、皆で探していたら山のうしろからひょこひょこ出てきた。—— 心霊科学と自然科学 ― 一科学者から見た心霊研究(後藤以紀・日本心霊科学協会叢書・1983年(昭和58年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
心霊科学と自然科学 ― 一科学者から見た心霊研究(後藤以紀・日本心霊科学協会叢書・1983年(昭和58年))
『心霊科学と自然科学――一科学者から見た心霊研究』は、後藤以紀が昭和五十八年に序を記してまとめた心霊研究の論集である。東大教授・電気試験所所長を務めた著者が、亀井三郎・津田江山らの物理的心霊現象の実験、渡米中にニューヨークで見た現象、ラインハートの実験などを自然科学の立場から検討する。座談と質疑応答、論文、心霊科学と自然科学、心霊現象の種々相、心霊随想の五部からなり、昭和十五年以来『心霊研究』『科学世界』などに載せた文を収める。