名曲喫茶で出会った紫の光の魂
どんな伝承か
桝井寿郎が座談で語った体験。高校二年のとき、川端康成から東京の大学に入って家に通うよう勧められたが、家の事情で関西の私学に進むことになり、申し訳なさから死を思いつめた。自殺しようと決めた前日、大阪の南にあったウィーンという名曲喫茶で好きな田園を聴いていると、急に大地が裂けたようになり、気づくと雲海に包まれた巨大な森の中にいて、聞いたことのない音楽が流れていた。そこで紫の光を放つ崇高な魂に出会い、死を思いとどまった。同行の友人二人は、コーヒー茶碗を落としたまま恍惚としている彼に驚いたという。
原典より
でも、雲海に包まれた大きな森の中で、紫の光を放った崇高な魂に出会って、死を思いとどめさせられたんです。—— 私は幽霊を見た(東雅夫(編)・MF文庫ダ・ヴィンチ) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
私は幽霊を見た(東雅夫(編)・MF文庫ダ・ヴィンチ)
『私は幽霊を見た――現代怪談実話傑作選』は、東雅夫が編んだ怪談実話のアンソロジーで、メディアファクトリーのMF文庫ダ・ヴィンチの一冊である。平山蘆江・火野葦平・佐藤春夫・徳川夢声・遠藤周作・柴田錬三郎から石原慎太郎・新倉イワオ・稲川淳二まで、作家や文化人が自ら見聞きした幽霊や怪異を書いた文章を集める。目次には二十三篇と編者解説が並び、水木しげる・山田野理夫・桝井寿郎の座談「怪談詮議」や中岡俊哉「イタコの謎を追う」の抄録も含む。