屋根から昇った青い火の玉
どんな伝承か
今年の八月、夜の十時ごろのこと。消防自動車のサイレンがけたたましく鳴るので門の外へ出て見回したが、火の手はどこにも見えない。すると一丁ほど先の屋根の上から、青い火の玉がふわふわと上空へ昇っていき、やがて雲の中へ消えた。ほんの一瞬の出来事だが、挿絵で見慣れた人魂によく似ているのに感心して、後ろに立っていた大学生に今のを見たかと尋ねた。学生は異様な恐ろしさに襲われたような顔のまま、かすかに「ええ」と答えただけで、急いで自分の家へ入っていった。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
心霊の神秘(武久勇三・1949年(昭和24年))
『心霊の神秘』は、武久勇三が一九四八年晩秋に序を書き、昭和二十四年に善隣出版社から千部限定で出した心霊現象の解説書である。近親の死に際して現れた幽霊や夢知らせなどの実例を、戦時中の出来事や知人から聞いた話、外国の研究記事から集め、頭脳の霊波による精神感応として説明を加える。話の人名はすべて仮名とことわる。後半の「第三篇 超心理学」では透視術・夢の原理・催眠術・読心術を説き、終わりに戦死の知らせの話と生命論を置く。