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仇討ちに刀を借りた大猿と鷲切の名

所在地石川県金沢市湯涌町(湯涌温泉)
年代享保末年晩春
登場丹羽武兵衛、刀を借りられた金沢藩の馬廻頭
出典日本の怪談

どんな伝承か

享保の末、金沢藩の馬廻頭丹羽武兵衛は体調を崩し、石川郡の湯湧の温泉に湯治に来ていた。晩春のある日、従者と温泉場の傍の薬師堂の山に登り、堂の前で酒を楽しんだのち、刀を置いたまま堂の裏の絶壁に登って眺めた。日暮れに戻ると刀が消えていた。宿の主人たちが詮議しても手がかりはなく、能登の石動山から来ていた老僧に占わせると、四つ足の者の手に渡っており詮議すれば戻ると告げた。その夜、障子の外の声が、子を悪い鳥に殺された山の者で、仇を討つため刀を借りたと詫びた。障子を開けると大猿のような獣が逃げ去り、鷲の半身と白刃が残されていた。武兵衛はこの備前兼光の刀を鷲切と名付けたという。

原典より

獣の蹲っていた処を見ると、大きな鳥の半身と共に鞘のない白刃がいっしょに置いてあった。—— 日本の怪談(田中貢太郎・河出文庫・1985年(昭和60年)) より引用
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※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません

出典の文献について

日本の怪談(田中貢太郎・河出文庫・1985年(昭和60年))

『日本の怪談』は、田中貢太郎の怪談を昭和四十五年桃源社刊『日本怪談全集』から抜き出した文庫本で、昭和六十年十二月に河出書房新社から発行された。「宝蔵の短刀」「八人みさきの話」など土佐の城下や村の話をはじめ、江戸・京・吉野などを舞台にした幽霊・狐狸・猿・魔物の話を、会話の多い語り口で収める。二十七篇の後に尾崎秀樹の解説を付し、高知に生まれた作者の生涯と怪談・妖異譚への傾倒をたどっている。

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