三枚重ね乾板中央への「川」念写
どんな伝承か
明治四十四年一月四日、丸亀の長尾家で、今村新吉らが長尾郁子に、三枚重ねた乾板の真ん中の一枚へ念写するよう求めた。福来友吉は用事で神戸に出ていて立ち会っていない。郁子は、板が三枚なら「川」がよいと自ら題を選び、午前十時半から四十一秒で終えて、横に並んだ三枚が見えたので中央に写したと言った。石川写真館で三枚を同時に現像すると、中央の一枚にだけ鮮やかな川の字が現れ、前後の二枚は全く感光していなかった。念写を詐術と言いふらす京大生に動かされた新聞記者たちが、福来のいない場での実験を今村に迫ったのが、この試みの発端だったという。
原典より
今村博士、源氏、藤原氏の三人が乾板を持ちて石川寫眞館の暗室に行き、三枚を同時に現像した所、中央の一枚には第二十三圖の如き最も鮮明なる川の字が現出し、前後の二枚は全然無感光であつた。—— 心霊と神秘世界(福来友吉・1932年(昭和7年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
心霊と神秘世界(福来友吉・1932年(昭和7年))
『心霊と神秘世界』は、文学博士福来友吉が著し、昭和七年に人文書院から発行された心霊研究と仏教思想の書である。御船千鶴子・長尾夫人・三田光一らの透視と念写をはじめ、霊の幻化、念動、物質化など国内外の心霊現象を実験記録とともに論じ、後半では自我・神秘世界・霊と生命を真言密教や華厳の教えによって説く。全五編からなり、この本文は昭和五十七年に心交社が出した復刻版で、梅原正紀・井村宏次らの「解説研究編」を付している。