手相どおりに死んだ塩たき人夫
どんな伝承か
釜石の試験場で人の手相を見て面白がっていた著者のもとへ、ある日近所の塩たき人夫がやって来て、手を見てくれと頼んだ。定規で測って調べた結論は、三十六歳と半分くらいで怪我をし、それが命取りになるというものだった。人夫は青ざめ、二か月ほど前に盛岡で自動車にはねられ、近ごろ胸が締められるように苦しいと打ち明ける。年齢はちょうど三十六歳と六か月であった。著者は医者にかかって養生するよう勧めた。二か月ほど後、塩たき工場の前で同僚に尋ねると、一週間前にはねられた内臓が原因で死んだという。著者はそれきり手相を見るのをやめた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
続 山だ原始人だ幽霊だ(西丸震哉・山岳・怪異エッセイ・1972年(昭和47年))
『続 山だ原始人だ幽霊だ』は、西丸震哉の随筆集で、あとがきの日付は昭和四十七年三月十日である。出版の都合で前後編に分けたうちの後編にあたり、ニューギニアやニューブリテン島、トロブリアンド島の部族を訪ねた探訪記と原始社会の食生活論に続いて、幽霊についての自説と、自身や身内が出会った怪談を収める。終わりには手相、テレパシー、呪い殺し、雨やみの術、インドから自宅へ魂を飛ばす実験の話が並び、カバーと挿絵も著者が描いたとあとがきにある。