職員立会の念写に現れた神通力の文字
どんな伝承か
念写など手品にすぎないと笑っていた小学校教師の中野哲也は、同僚の渡邊偉哉が念写に成功したと聞いても信じきれず、自分で厳しく確かめようと考えた。四月二十一日、同僚の三浦と谷村町の伊勢屋へ行って名刺判の乾板を半ダース買い、店の封をしたまま校長に預けた。翌日の放課後、職員全員が立ち会うなか、乾板から三尺ほど離れて座った渡邊に、二枚目に「神通力」、五枚目に「孝」、六枚目に自分の名を写すよう求めた。渡邊は一枚ごとに五、六分心を統一して終え、米山先生が宿直室の戸棚で現像すると、「神通力」と「孝」がはっきり現れた。名前だけは写らなかった。中野はこれを見て、心霊現象を研究してみたいと思うようになったという。
原典より
するとその内に、明瞭「神通力」の三字が現はれ、次いで「孝」の字も現はれて來た。—— 靈魂に就いての奇話(本誌記者編・趣味の科學) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
靈魂に就いての奇話(本誌記者編・趣味の科學)
『靈魂に就いての奇話』は、本誌記者が編んで雑誌の連載欄「趣味の科學」に載せた心霊研究の読み物である。欧米の心霊研究が説く霊魂と死後の生活、エジソンの霊界通信機の構想、ノバスコシアの騒霊事件、亡き人が夢や姿で知らせた話などを、学者の説や新聞雑誌の記事から集めて紹介する。「死後の生活」「不思議の現象と心理研究」「千里眼念寫の奇現象」と題を替えて回を重ね、終回では長尾郁子の透視や渡邊偉哉の念写の実験記録を取り上げる。