一月六日の夜に判を捺す厄病神
どんな伝承か
一月六日の夜には、鬼とも呼ばれる厄病神がやって来て、家の外に出ている物という物に残らず判を捺して帰っていく。判を捺された物を身につけると病気になったり不幸に見舞われたりすると恐れられたため、人々は日が暮れるまでに身の回りの品、とりわけ履物を一つ残らず家の中へ取り込み、夜はなるべく外へ出ないようにした。著者はこれを、厄神の来る日に身につける物を外へ出さない禁忌と、夜の外出を慎む禁忌の両方を示す例として挙げている。
原典より
一月六日の夜には、厄病神(鬼ともいう)が屋外にあるものに残らず判を捺して帰る。—— 厄除け――日本人の霊魂観(佐々木勝・民俗学・厄除け信仰・1988年(昭和63年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
厄除け――日本人の霊魂観(佐々木勝・民俗学・厄除け信仰・1988年(昭和63年))
『厄除け――日本人の霊魂観』は、佐々木勝が昭和六十三年に名著出版から刊行した民俗信仰の論考集である。鬼・悪魔・疱瘡神・一つ目小僧など人に災いをもたらす神霊を「厄神」と総称し、その来訪を防ぐ呪術と祀り上げる祭祀を、著者の民俗調査と国学院大学民俗学研究会の採訪記録などの事例から説く。禁忌と呪術、百鬼夜行と目籠、鬼の宿と笹神様、年神とミタマの飯、厄年と年祝い、正月行事と司祭者など八章からなり、うち四章は書き下ろしである。