耳にあてて唱えるアンピンモチ
どんな伝承か
正月十四日は小年取り、十五日は小正月で、このときに若餅を食べた。アンピンモチと呼ばれるこの餅は、口にする前に耳に当て、「ミー、ミー、いいこと聞いて悪いこと聞くな」と三度唱えてから食べるものだった。飼っている犬や馬にも同じようにしてやったという。著者は、七草や小正月に身体に施すこうした呪いを、厄神の訪れに備えて身を清める行いの例として並べている。
原典より
このとき若餅を食べるが、これをアンピンモチと称し、耳にあてて「ミー、ミー(耳)、いいこと聞いて悪いこと聞くな」と、三回唱えてから食べた。—— 厄除け――日本人の霊魂観(佐々木勝・民俗学・厄除け信仰・1988年(昭和63年)) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
厄除け――日本人の霊魂観(佐々木勝・民俗学・厄除け信仰・1988年(昭和63年))
『厄除け――日本人の霊魂観』は、佐々木勝が昭和六十三年に名著出版から刊行した民俗信仰の論考集である。鬼・悪魔・疱瘡神・一つ目小僧など人に災いをもたらす神霊を「厄神」と総称し、その来訪を防ぐ呪術と祀り上げる祭祀を、著者の民俗調査と国学院大学民俗学研究会の採訪記録などの事例から説く。禁忌と呪術、百鬼夜行と目籠、鬼の宿と笹神様、年神とミタマの飯、厄年と年祝い、正月行事と司祭者など八章からなり、うち四章は書き下ろしである。