馬洗渕のかっぱと竹むち
どんな伝承か
青沼の馬洗渕の近くで、入沢の人が田を作っていた。ある日、渕で洗った馬をつないでおくと、馬は落ち着かない様子で家へ逃げ帰ってしまった。追って馬小屋へ行くと、隅で何者かが目をむいている。棒で打とうとすると前足を合わせて拝み、自分は馬洗渕のかっぱで、馬を渕へ引き込もうとしたが逃げられ、尾にすがってここまで来たと命乞いをした。許してやると、かっぱは礼に節が四十二ある竹のむちと、二合ほど入る不思議な壺を置いていった。のちに入沢の別の人が伊勢参りの途中、瀬田の唐橋で見知らぬ僧に呼び止められ、あのときのかっぱだと名乗る僧から「七度干しても世をうるおす」と記した手紙を託されたという。
原典より
かっぱは「助けてもらったお礼に宝をあげます」と言って、長さ一尺三、四寸(約四〇センチ)に節が四十二ある竹のむちと、二合ほど入る不思議な壺をくれた。—— 南佐久郡誌 民俗編――伝説・世間話(南佐久郡(編)・南佐久郡誌) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
南佐久郡誌 民俗編――伝説・世間話(南佐久郡(編)・南佐久郡誌)
『南佐久郡誌 民俗編――伝説・世間話』は、長野県南佐久郡の郡誌民俗編から、第十三章「伝説と歌謡」の昔話・伝説・世間話の部分を収めたものである。郡内に伝わる鳥呑み爺や古屋のもりなど十一話の昔話、離山・白駒の池・おかんばあさんなどの伝説、光り物・あずきとぎ・天狗・かっぱ・狐火・家つき童子などの世間話を集める。伝説の後半には藤沢衛彦編『日本伝説叢書・信濃の巻』から佐久に関わる話を原文のまま引き、世間話は話題ごとに体験談を並べる。