田村麻呂の矢と安産の東矢神社
どんな伝承か
大本の丘に東矢神社という小さな社があり、お産の神として近郷の人々から篤く信仰されている。言い伝えによると、坂上田村麻呂が夫人を伴って奥州へ攻め上る途中、夫人が急に産気づいた。たいへんな難産で、苦しむ妻を見かねた田村麻呂は、あらゆる神仏に安産を願い、白みはじめた東の空へ矢を射た。矢が明け方の空に消えると、元気な赤子の泣き声があがり、夫人は無事に子を産んだ。これにちなみ、この地に東矢神社がお産の神として祀られたという。
原典より
矢が暁の空に消えてゆくと、不思議なことに「オギャー、オギャーー」という元気なウブ声が聞えてきた。—— 小山市史 民俗編 より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
小山市史 民俗編
『小山市史 民俗編』は、小山市の市史のうち民俗を扱う編である。第九章「祭りと民俗芸能」の終わりで小薬北若連・武井の若連が担う囃子と下生井の囃子を記し、第十章「民話・民謡・ことわざ・方言」では間々田・土塔・粟宮・下生井など市内各地の伝説と昔話を、小山城の落城や小山氏、藤原秀郷にまつわる話を多く含めて紹介する。伝説は自然伝説・信仰伝説・歴史伝説の三つに分け、伝承地を添えた伝説名の一覧と主な話のあらすじを掲げ、昔話は土地の言葉のまま載せる。