おひなの荒れ
どんな伝承か
白山の浄養寺の横を流れる小川は、古い記録に馬場谷と見える川で、おひなの流れとも呼ばれる。前田藩の時代に三宮で白山社を再建することになり、大工や職人が大勢集まったので、おひなという娘が馬場谷の川下に茶屋を開いた。美しく愛想のよいおひなの店は繁盛し、村の若者や妻のある男まで通いつめたため、村の娘や女房たちは嫉妬と恨みを募らせた。ある年の寺のホンコの日、夜中の大雨で小川が濁流になっていたところへ、晴れ着で参詣に来たおひなを女たちが川に突き落とし、誰も助けなかった。以来、白山の寺でホンコがあると、成仏できないおひなの念で氷雨が降り天気が荒れるという。
原典より
それからは、白山のお寺にホンコさんがあると、齢んだおひなは成仏せんのか、お参詣りに来るから、おひなの亡念が氷雨が降り、天気が荒れるという。—— 河内村史 下巻(民俗編)――白山麓の伝説(河内村(編)・河内村史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
河内村史 下巻(民俗編)――白山麓の伝説(河内村(編)・河内村史)
『河内村史 下巻(民俗編)――白山麓の伝説』は、白山麓の河内村の村史の民俗編から、民話・伝説と故事を記した節を収めたものである。白山の千蛇ヶ池や富士山との背くらべ、高ボウケの大蛇、猿仏の名号、おひなの荒、天狗、菊酒、池の金山の伝説など、村と周辺に伝わる話を、白山関係の古文書や郡誌を引きながら記す。第三節「民話 伝説」、第四節「故事 伝説」、第五節「伝説」に分け、話ごとに題を立てて由来や現地のようすを添えている。