狐に化かされた・とりつかれた話
どんな伝承か
狐に化かされたり取りつかれたりした話は、市内のあちこちで数多く語られてきた。旧草加宿の医者が往診の帰りに化かされ、松並木や大木に一心に注射していたという話、草加駅を出た列車の前に来るはずのない対向列車が何度も現れ、構わず進むと線路脇に小牛ほどの狐が死んでいたという話、同じ所をぐるぐる歩かされたり、魚を取られたり、肥溜めを風呂と思い込まされたりした話などである。鳩ヶ谷の砂川の稲荷の前で秋刀魚を取られた若者が痩せ細り、先達の指図で狐封じの札を置いて治ったという話や、子狐を狐汁にした家に親狐が仕返しに通った話も伝わる。
原典より
大正の終わりから昭和の初めにかけてのころ、どこかへの往診の帰り、狐に化かされてしまって、街道の松並木や神社の松の木の幹に一生懸命注射していた。—— 草加市史 民俗編――伝説(草加市(編)・草加市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
草加市史 民俗編――伝説(草加市(編)・草加市史)
『草加市史 民俗編――伝説』は、草加市史民俗編のうち「二 伝説」の章である。地名起源・塚・神々・地蔵・薬師・観音・その他の神仏・旅の僧・動物と妖怪の九節で、柿木や青柳の地名の由来、毛長神社の御神体、疣地蔵や火あぶり地蔵、雨乞いの龍、むじな大尽などを、『新編武蔵風土記稿』や縁起碑、土地の伝えによって記す。第十節「世間話」は狐・むじな・狸・雷獣の聞き書きを集め、話ごとに町名と話者の頭文字・生年を添える。