近づいてこない花嫁行列の提灯
どんな伝承か
嫁入りが夕方と決まっていたころの話である。草加二丁目のあたりから立野堀へ嫁ぐ娘があり、婿の家では、そろそろ行列が着くころだと門口に出て待っていた。やがて遠くに花嫁行列の提灯が見えてきたので、やれやれと眺めていたのだが、その灯りは同じあたりを行ったり来たりするばかりで、いっこうに近づいてこない。ずいぶん経ってようやく到着したので事情を尋ねると、どういうわけかやたらと遠回りをさせられたのだという。狐に化かされたのだろうと語られた。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
草加市史 民俗編――伝説(草加市(編)・草加市史)
『草加市史 民俗編――伝説』は、草加市史民俗編のうち「二 伝説」の章である。地名起源・塚・神々・地蔵・薬師・観音・その他の神仏・旅の僧・動物と妖怪の九節で、柿木や青柳の地名の由来、毛長神社の御神体、疣地蔵や火あぶり地蔵、雨乞いの龍、むじな大尽などを、『新編武蔵風土記稿』や縁起碑、土地の伝えによって記す。第十節「世間話」は狐・むじな・狸・雷獣の聞き書きを集め、話ごとに町名と話者の頭文字・生年を添える。