首を絞めた狸を叱った男
どんな伝承か
昭和の初めごろの話である。千歯扱きで稲扱きをしていた当時、秋の忙しい時期は夜の九時ごろまで夜業であった。ある夜、仕事をしているとパラパラと音がする。狸がどんぐりを取って来て投げつける音であった。語り手は女衆を驚かすつもりで「こわいぞ、こわいぞ」とふざけていたが、その夜、狸が縁の下へ入り込み、寝ている上に馬乗りになって同じ言葉を言いながら首を絞め始めた。起き上がって捕まえ、二度とするなと怒鳴りつけると、狸はうなずいて逃げ、それきり悪戯はやんだという。
原典より
その夜、狸が縁の下へ入り込み、ガサゴソ音を立てていたが、そのうち寝ている上から馬乗りになって「こわいぞ!こわいぞ!」と言いながら首を絞め始めた。—— 草加市史 民俗編――伝説(草加市(編)・草加市史) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
草加市史 民俗編――伝説(草加市(編)・草加市史)
『草加市史 民俗編――伝説』は、草加市史民俗編のうち「二 伝説」の章である。地名起源・塚・神々・地蔵・薬師・観音・その他の神仏・旅の僧・動物と妖怪の九節で、柿木や青柳の地名の由来、毛長神社の御神体、疣地蔵や火あぶり地蔵、雨乞いの龍、むじな大尽などを、『新編武蔵風土記稿』や縁起碑、土地の伝えによって記す。第十節「世間話」は狐・むじな・狸・雷獣の聞き書きを集め、話ごとに町名と話者の頭文字・生年を添える。