反物を受けた地蔵とへそから出る米
どんな伝承か
欲の深いおばあさんが織ったハタを、正月の買物にあてようとおじいさんが売りに出たが、いくら回っても売れなかった。仕方なく反物を抱えて宿場から中山の方へ登っていくと、峠に地蔵様が立っていて、雪が降り積もってきた。おじいさんは売れ残った反物を地蔵様に与えて帰った。おばあさんは怒ったが、その夜「ヤジがとこへよんやさ」という掛け声が近づき、昼間の地蔵様が餅やお金など正月の品を車に積んで礼に来た。一体だけ残った地蔵様を床の間に置くと、へそから毎日二人分の米がこぼれ出た。欲を出したおばあさんがへそをえぐると米は止まり、地蔵様も消えて、また貧乏に戻ったという。
原典より
あけてみると昼間たすけた地蔵さんが先に立って、車に餅、お金などお正月の飾り物を一杯もってきて、助けてもらったお礼だといってくれた。—— 高山村の民俗――昔話(群馬県民俗調査報告書 第21集・群馬県民俗調査報告書) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
高山村の民俗――昔話(群馬県民俗調査報告書 第21集・群馬県民俗調査報告書)
『高山村の民俗――昔話』は、群馬県民俗調査報告書の第二十一集から、年中行事の末尾と「口頭伝承」の部を収めたものである。口頭伝承は昔話・伝説・世間話の三つに分け、桃太郎・蛇婿入り・食わずの女房などの昔話、弘法の投筆や椀貸の渕・小太郎渕の伝説、怪力の馬之丞やアズキトギ・見越シ入道・かくしばあさんの世間話を載せる。各話の末尾には、中山字原・尻高字熊野・北之谷などの採録地と話者を添える。