頭に口のある婆から逃げた盆花取りの小僧
どんな伝承か
昔、寺の小僧が坊さんに盆花を取って来いと言われて出かけたが、いい花がないので山の奥へ行き、道に迷ってしまった。遠くに明かりが見えたので行ってみると、おばあさんが頭をとかしていた。道を教わろうとしたが、暗くなるから泊っていけという。夜中になっても頭をとかしているのでおかしいと思って見ると、頭の中に大きな、たまげるような口があった。小僧は恐ろしくなって逃げ出し、便所に隠れ、次に井戸小屋の天井に隠れた。追って来たおばあさんが井戸をのぞくと小僧の姿が映っていたので、ここへ入っていたのだと言って井戸へ入り込んでしまい、小僧は夢中で帰って来たという。だから盆花取りにはあまり遅く行くものではないという。
原典より
頭の中に、大きい、たまげるような口があるので、おっかなくやって逃げだした。—— 高山村の民俗――昔話(群馬県民俗調査報告書 第21集・群馬県民俗調査報告書) より引用地図で位置を見る
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
高山村の民俗――昔話(群馬県民俗調査報告書 第21集・群馬県民俗調査報告書)
『高山村の民俗――昔話』は、群馬県民俗調査報告書の第二十一集から、年中行事の末尾と「口頭伝承」の部を収めたものである。口頭伝承は昔話・伝説・世間話の三つに分け、桃太郎・蛇婿入り・食わずの女房などの昔話、弘法の投筆や椀貸の渕・小太郎渕の伝説、怪力の馬之丞やアズキトギ・見越シ入道・かくしばあさんの世間話を載せる。各話の末尾には、中山字原・尻高字熊野・北之谷などの採録地と話者を添える。