小島村の八房梅と旧跡の仏庵
どんな伝承か
白川荘の小島村に一株の春梅があり、高さは一丈余り、枝は七、八歩四方に広がる。老いた根は虎がうずくまるようで、枝は竜がわだかまるようだという。花は淡紅の八重で、一輪に八つの実を結ぶので土地の人は八房梅と名づけた。清らかな香りは数十歩先まで届き、他の老梅に比べようもない数百年の古木である。もとは農民の庭にあったが、享保十六年に山口村善照寺の住僧がその地を買って仏庵を建て、親鸞の旧跡地と称した。門徒は、上人が塩梅の核を手ずから植えて生じた木なので、実はいまも塩気を帯びるのだと語る。
※伝承地の場所は必ずしも正確ではありません
出典の文献について
日本伝説大系 第3巻(日本伝説大系編集委員会・日本伝説大系(みずうみ書房))
『日本伝説大系 第3巻』は、山形・福島・新潟の三県に伝わる伝説を集めた叢書『日本伝説大系』の一巻である。湖水の干拓、鮭の大助、八百比丘尼、弥三郎婆、安達ヶ原の鬼婆、産女、雪女房、河童などの話のほか、松・杉・石・池・清水・温泉・長者にまつわる伝説を、口承資料を主に採っている。全体は「文化叙事伝説」と「自然説明伝説」に分かれ、各項目は例話と伝承地を掲げ、〔類話〕〔文献〕〔参考〕で近世以後の史料や県外の類例を補う。